KEYWORD:イメージ
COUPLE:Tim→Dick |
MARK:
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ロビンこと、ティム・ドレイクは・・・バットケイブの中の診察台のようなベッドの上でに横になりながら、目の前にいる3人のヒーローを眺め、ぼんやりとしていた。 実は、いつ自分がケイブに戻ってきたのか・・・覚えていないのだ。 はっきりとしない意識の中でなにやら話し込んでいるヒーロー達を眺めていると、意味のないイメージが頭の中に浮かんでくる。 1人は、鮮やかな青いスーツに赤いケープの超人。 誰もが憧れるヒーロー。 ・・・とは、自分が敬愛する兄の言葉ではあるが。 彼は喩えるならば、太陽のような存在。 1人は、漆黒のケープの魔人。 ダークナイト。 初めはただ憧れの存在だったが、今では自分の師匠でもある。 彼は喩えるならば、夜そのもの。 そして、そんな2人と対等に話をしている最後の1人。 美しき、青い鳥。 ダークナイトの最初の駒鳥。 自分にとっては兄のような人。 彼は喩えるならば木漏れ日のような・・・ 初めはそう思っていた。 いつも優しく微笑みかけてくれて、柔らかい温かさで包んでくれる。 そう思うのは今でも変わりないのだけれど。近頃は、もっと違う何かに喩えられるような気がしていた。 もっとこう・・・ そんな事をぼんやりと考えていると、自分が目を覚ました事に気が付いたらしい。青い鳥・・・ナイトウィングが近づいてきて、頭をそっと撫でてきた。 「大丈夫?」 自分を気遣う声に、優しい手の感触。それがとても心地よくて、 「なんだか、ボーっとする・・・」 そう言いながら、ナイトウィングの手に頬をすり寄せ目を閉じた。 この時ナイトウィングが事の次第を説明してくれて、漸く自分の置かれた状況を理解する。 ヴィランを追いかけている最中に爆風に巻き込まれ飛ばされた自分を、スーパーマンが助けてくれたらしい。 「怪我はそんなに酷くないから、ぼおっとするのもすぐ治まると思うよ」 まるで安心させるかのような優しい声色に頷いて、少しだけ頭を動かしナイトウィングを見上げる。 すると、ちょうどナイトウィングの真後ろに位置するケイブの巨大モニターが目に入った。 モニターには夜のゴッサムが映し出されている。 街を騒がせていたヴィランはもう捕まえたらしいので、街は静まり返り。ただ、月が優しく照らしていた。 それを見た瞬間、先ほど考えていたイメージが蘇る。 喩えるならば木漏れ日のような・・・ いや、むしろ。 彼は、喩えるならば・・・月、だ。 太陽の光を受けて、夜の闇を明るく、優しく照らす、月。 太陽ほどきつい明るさではないが、夜の闇の中でその存在をしっかりと主張でき、誰もが惹きつけられる魅力を持った月は・・・まさに彼そのものではないか。 先ほど少しつっかえていたものがすとんと腑に落ちた感じがして。一人満足したティムは、 「もう少し、寝てていい?」 少し甘えるような声を出し、ナイトウィングの手をきゅっと握った。 「・・・。」 そんな、珍しいティムの態度に。ナイトウィングは一瞬驚いた顔をするが、すぐに月明かりのような優しい微笑みを浮かべて、 「ああ、今日はもうパトロールにも行かないからね。安心してお休み」 と、握られていない方の手で頭を撫で、その額にキスをした。 END 2009/02/28 |