KEYWORD:5分間
COUPLE:Bruce/Dick |
MARK:
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バットマンが事件でぶつかった謎を追求している時、不眠不休で調査をする事は当たり前だ。 この日も、彼が一度睡眠をとってからすでに、40時間を過ぎようとしていた。 「ずっと同じかっこうしてると、そのまま石になっちゃうよ?」 モニターをずっと睨みつけるように見ていたバットマンに、背後から声がかかる。 「・・・・・・。」 だが、バットマンはそちらには何の反応も見せず。黙々と、様々なウィンドウを開いては必要な情報を保存し、閉じてを繰り返していた。 「・・・。」 わかっていた事とはいえ、完全に無視をされた形となり。バットマンに声をかけたナイトウィングは軽くため息をついて肩をすくめた。この状態では、いくら何を言っても彼が動く事はない。 もう少ししてから、また声をかけてみよう。 ナイトウィングはそう考え、少し離れた場所にある休憩用のソファーに腰掛けた。 暫くの間背凭れに体を預け、巨大コンピュータに向かって一心にキーボードを打って情報を収集しているバットマンを眺めていたのだが。 ふと感じた眠気に、顔を伏せ軽くあくびをした。そんな、ほんの少し視線をそらしていた瞬間に・・・ キーを叩く音が切れ、コンピュータの前に座っていたバットマンが姿を消した。 どこへ行ったのだろう?と、辺りを軽く見回せば。 「・・・何をしている」 と、背後から威圧的な低い声がかけられた。 「そっちこそ。調べ物は終わったの?」 バットマンの、いきなり声をかけるという行動は昔から変わらない。他の者なら多少は驚いて見せるのだろうが、ナイトウィングは何事もなかったかのように会話を続ける。 「ああ、一通り調べはついた。後は・・・」 「犯人を捕まえるだけ?」 その問いに、バットマンはコクリと頷く。 「僕も何か手伝おうか?」 今の彼は睡眠もろくにとっておらず、1人で行動させる気にはならなかった。必要ない、と言われることはわかっているが、とりあえず尋ねると。 「・・・そうだな・・・」 と、珍しく考える素振りを見せてきた。 いつもなら問答無用で突っぱねてくるくせに。 本当に、珍しい事もあるものだ。と、ソファーに座ったままだったナイトウィングは、すぐ傍に立っているバットマンを見上げながらぼんやりと考えていた。 すると。 「え?・・・ちょ!!?」 急に、バットマンは隣に座り、ナイトウィングの膝を枕にごろんと寝転んだ。 「ブルース!?」 今までにないいきなりの行動に、さすがのナイトウィングも驚き声を上げる。 「・・・奴らが動くまでまだ暫く時間がある。5分ほどで起こしてくれ」 そして、すぐさま聞こえてきた寝息に、ナイトウィングは仕方がないなと言うかのように小さくため息をついて、バットマンの頭を優しく撫でた。 数十分後。 ゴッサムの街に響く、パトカーのサイレン。 とあるホテルの入口を固める数台のパトカーを、近くのビルの屋上から見ていたバットマンとナイトウィングは。警察が今回の事件の犯人をホテルから連れ出しているのを確認して、ほっとするように小さく息を吐いた。 「これで、事件解決だね」 「・・・ああ」 いつものようにそっけない返事ではあるが、バットマンもほっとしている事はナイトウィングにはわかっていた。 「そういえばさ・・・」 犯人を乗せたパトカーが走り出すのを確認し、踵を返すバットマンにナイトウィングが声をかける。 「何であんなことしたの?」 あんなこと?と、訝しげな顔をするバットマンに、ナイトウィングがここに来る前の事だよ、と告げると・・・バットマンは不自然に顔を逸らし、再び歩き出した。 「ちょ・・・バットマン?」 慌てて後を追い、バットモービルに乗り込んだバットマンに続いてナイトウィングが助手席に乗り込むと。 「・・・・・・だろう・・・?」 「え?」 シートベルトを締めているときに、小さな声で何かを言われ。聞き取れなかったナイトウィングが聞き返すと。バットマンの眉間の皺がさらに深くなる。 しかし、再び口を開くのは、意外と早かった。 「・・・ジェイソンに、してやったんだろう?」 それを聞いて、ナイトウィングは驚きのあまり目を見開く。 「え、ちょ・・・それって・・・」 おそらくジェイソン本人から、『ディッキーに膝枕してもらっちゃったもんねv』とでも言われたのだろう。それを聞いて、やきもち焼きのバットマン・・・ブルースが大人しくしている筈はない。 完全に黙り込んでしまったバットマンを見つめ、苦笑して。 「・・・あんたが望むなら、僕はいつだってしてあげるのに」 そう言って、ナイトウィングは今度は優しく微笑んだ。 END 2009/01/21 |