それは、まだディックが大学生で。週末にウェイン邸へ帰ってくる、という生活をしていた頃の話。 その日は嵐の影響で風が強く、ディックが普段生活をしている大学の寮の窓もガタガタと酷い音を立てている。夜には雨まで降り出すほどの悪天候だった。 夜、寮のベッドで休んでいたディックは、侵入者の気配に気づき、相手に悟られないように枕の下に隠してある定規(普段からこういうことがないとは言えないので、ロビンとばれない、日用品で武器になる物をいつも手近に置くようにしている)を握った。 静かに近づいてくる相手が射程圏内に入った直後、手裏剣のように定規を投げつけ、相手が怯んだ隙に飛びかかろうとしたが。 「っ!「Quiet.」 逆にベッドに押さえつけられ、大きな手で口を塞がれ、静かな声で囁かれた。 抑えられた瞬間は思い切り体を強張らせたが。その声を聞いて、ディックは体の力を抜く。 ディックを押さえつけていた相手も、彼の体から力が抜けた事に気づくと口を塞いでいた手を離したが・・・彼の上から退こうとはしなかった。 「何かあったの?」 ディックはそっと手を伸ばし、自分の上にのしかかっている男の頬に優しく触れ。 「バットマン・・・」 その名を呼ぶ。 バットマンは終始無言だったが・・・その唇が小さく震えていることに気が付いたディックは、ゆっくりと近づいてくるバットマンの顔に合わせ、静かに目を閉じ。落ちてくる口付けを受け入れ・・・。 「おーい!グレイソン、大丈夫かー!?」 「っ!?」 軽いキスのあと、もう一度唇を合わせようとした時、急にドアを少々荒っぽくノックされ、声をかけられ。ディックは飛び上がるほど驚いた。 体を起こして、バットマンの腕にしがみ付いていることに気づかぬまま。何事か、としばし呆然としていたが。 「おい、倒れてたりしたら大変だぞ。ドア蹴破った方がよくね?」 「ちょ!まって!今行くから!!!」 また違う声がそう言ったのを聞き、ディックは慌ててバットマンを押しのけ、ドアに駆け寄る。 そして、バットマンが陰に隠れたのを確認すると、自分の頭が出る程度にドアを開け。 「ど、どうしたの?」 ドアの前にはクラスメートで、隣の部屋で暮らしている2人。 「どうしたの、じゃねーよ。お前の部屋から何かデケー音がしたから心配してきてやったんじゃねーか」 「こんな時間だし、何かあったのかと思って・・・」 心配そうに話す2人に、ディックは素直に感謝して。 「ああ、心配かけてゴメン。窓の鍵がちゃんとかかってなかったらしくてさ」 だが、まさかバットマンを侵入者だと持って攻撃してただなんて言う訳にもいかず。 「突風で窓は開くわ机の上のものが落ちるわで、ちょっとばたばたしてたんだ」 苦笑して、咄嗟に嘘をついた。 それを聞いた二人は顔を見合せ。 「なんだよ人騒がせな」 「窓が開いたなら雨吹き込んでるんじゃない?片付け手伝おうか?」 呆れつつも、安心したと言うような表情を浮かべていた。 「いや、大した事ないから大丈夫だよ。ありがとう」 それから少し会話して、二人は自室に戻っていった。 ディックは小さく息を吐いて扉を閉める、と。 「今のは?」 後ろから、蝙蝠の翼で包まれるようにバットマンに抱き締められ、一瞬息を呑む。 「あ、隣に住んでるクラスメイトだよ。さっきの物音で、心配してきてくれたみたい」 耳元に吐息を感じ、くすぐったそうにディックは少し身を捩る。バットマンはディックを腕の中に捉えたまま、ドアの鍵をかけると。 「仲がいいんだな」 ドアノブに乗せたままだったディックの手に己の手を重ね。 「っ・・・」 ディックの耳をべろりと舐めた。 「と・・友達・・・だか、ら・・・ぁっ・・・」 そのまま、動けずにいるディックのパジャマの中に手を入れ、素肌にグローブをはめたままの手を這わせる。 流石にバットマンのその行動にディックは慌て、逃れようとするが。しっかりと抱きこまれている所為でそれもままならない。 「んっ・・・ブルースッ・・・こんな、とこ・・・でっ・・・」 上がりそうになる声をどうにか抑えながら、項や首筋に何度もキスを落とす相手に抗議しようとするが。それを遮るようにバットマンはディックの顎に手を添え、後ろを向かせてキスをした。 啄ばむ様な軽いキスから、ディックの抵抗を奪うように、徐々に濃厚なものへと変化させ。 「んぁっ・・・ぁっ・・・」 ゆっくりと唇を離した頃には、すでにディックは足に力が入らなくなっていて、そのままバットマンに体を預けるようにその腕の中に倒れこんだ。 「ブルース・・・」 そのまま、バットマンの胸の蝙蝠に甘えるように何度もキスをするディックを抱き上げ、ベッドに移動し。 ベッドに下ろしたディックは自らパジャマを脱いで両手を広げた。 バットマンは誘われるままその首筋にキスを落とし、服を着てしまえば見えなくなる場所に赤い花を散らしていく。 「っ・・・んっ・・・ぅっ・・・」 必死で声を抑えつつも、一切の抵抗をしないディックの肌にバットマンは唇をすべらせる。臍の辺りまでくると、パジャマのズボンと共にインナーを脱がせ、ディックを生まれたままの姿にした。 「あっ、やぁ・・・んっ、ブルース・・・」 すでに立ち上がりかけているディック自身にキスをすれば、顔を真っ赤にして体を震わせるも・・・ディックはされるがままになっていた・・・。 いや。バットマンの様子がいつもと少し違うように感じて・・・抵抗できなかった。 自分の両手で口を押さえ、声を出さないようにしていたが。バットマンがディック自身の形を確かめるように、舌先で舐め上げ、時に口に含み。 数分もしないうちにディック自身は固く立ち上がり、限界を伝えるかのようにビクビクと震えていた。 「んっ・・・ブル、ス・・・も・・・」 涙目で、荒い息を吐きながら小さな声で訴えるも、バットマンはそこから口を離そうとしてくれない。それどころか、更に舌での愛撫を続け。 「も、だめ・・・・・・っ・・・でちゃ・・・」 ぎゅっと目を瞑ってそれに耐えていると、バットマンは漸くそこから唇を離したが。その場所を手でゆっくりと扱きながら。 「我慢しなくて良い。出しなさい」 優しい口調で言って、再び咥え込み、強くその場所を吸い上げた。 「んっ!ぁっ!やっ、んっ!くっ!!んーーー!!!」 その途端、ディックは大きく喉を反らせ、上がりそうになった悲鳴を自分の手で無理矢理押さえ込んだ。 口の中に流れ込んでくる熱いモノを、バットマンは喉を鳴らし、残さず飲み干して。 「・・・濃いな。溜まっていたのか?」 とニヤリと笑って、口付けてきた。 「っ・・・んっ・・・ば、か・・・」 自分の味がする唇が少しはなれたときに悪態をつくが、ディックの腕はバットマンの首に周り。今度は自分からバットマンを抱き寄せ、貪るようにキスをする。 「んっ・・・あっ・・・」 だが、ゆっくりと体を離され残念そうな声をあげた。 バットマンはディックの瞼や頬にキスを落とすと、彼の体をうつ伏せにし。形の良い双丘を撫で、割り開き、その場所をべろりと舐め上げ。 「ひ、んっ!!」 その途端ディックは小さな悲鳴を上げて、目の前の枕をぎゅっと握り締めて顔を埋める。 プルプルと震えている彼の様子に、バットマンは小さな笑みを零すと、 「ここも、慣らさないとな」 と、意地悪な口調で言って、舌先を尖らせて更にその奥へと押し込む。キツク閉じていたソコは、バットマンの舌を強く締め付ける。 それと同時に、ディック自身にも刺激を与える。強く、時に優しく扱きあげれば、一度達して萎えていたソコはすぐに硬度を取り戻し、先端からとろとろと蜜を溢れさせていた。 「んっ!っ!!」 丹念に舐められ、解されたソコに。バットマンはディック自身が出した蜜でどろどろになった己の指を1本、ゆっくりと彼の胎内へと突き入れ・・・。 バットマンの指がゆっくりと出し入れされるたび、ディックの体が小さく跳ねた。 徐々に指の本数を増やし。もう、限界も近くディックの足ががくがくと震えだした頃。バットマンは彼の胎内に埋め込んでいた指をゆっくりと抜きさると。背後から抱き締めるように彼に覆いかぶさり。 「・・・ディック・・・」 耳元で、優しく名前を呼んで。ゆっくりとディックの胎内へ自身を納めようとした。 「あっ!・・・まっ、て。待って、ブルー、ス・・・」 その場所に、熱く硬いモノが押し当てられる感覚に。しばし放心していたディックが慌てて声を出す。 何事か。と動きを止めるバットマンに、ディックは上体を捻って少し恥ずかしそうに、上目遣いになりながら。 「声・・・絶対大きい声、出しちゃうから・・・キス、してて」 顔を赤くしてされた可愛らしいお願いに、バットマンは一瞬驚いたように目を見開くが。すぐに笑みを浮かべてディックの体を横にして、片足を抱え上げるとそのまま体を倒して。 「キスだけで、防げるのか?」 少々意地悪な口調でからかうように言って、優しく唇を塞ぐと・・・。 「っーーー!!!!」 その場所に擦りつけていた自身を、まるでその締め付けを味わうように、ゆっくりと、ディックの胎内へと埋め込んでいった。 「・・・行くの?」 薄暗い部屋の中で。 自分に背を向け、コスチュームの乱れを直し、マスクを被った相手に気だるげに声をかける。 「・・・起こしたか・・・」 コスチュームを着込んだ相手。バットマンは、声をかけられた事に少々驚いた様子だったが。振り向いて、優しくディックの髪を撫で。 「・・・すまなかった・・・」 暫くの間されるがままに撫でられていたディックは、いきなりの謝罪に首をかしげる。本当に、何故謝られているのかわからなかった。 だから。 「どうして、謝るの?」 素直に尋ねてみると、 「あ・・・いや。・・・その・・・」 バットマンはバツが悪そうに言葉を濁し、あらぬ方向へ顔をめぐらす。 ディックは彼のそんな様子がおかしくて、小さく笑う。それにつられるように、バットマンも小さく微笑んだ。 「・・・いってらっしゃい、気をつけて」 そろそろ行く、と、ディックの頭から手を離したバットマンの顎に、ディックは可愛らしいキスを一つして、微笑んだ。 「ああ・・・」 バットマンはそれに答えるように、ディックの額にキスを返し。次の瞬間には、すでに姿を消していた。 「・・・寂しがりなんだから」 開けっ放しになっていた窓を閉めようと近づいた時に、外の風雨が治まっている事に気づき、空に浮かぶ月を見て、ディックはポツリと呟いた。 END 2009/09/11 |