■Little Protege -Side D-■



 漸く僕は元の姿に戻る事が出来たけど、ブルースやアルフレッドはまだ若いままだった。
 大人から子供に戻ってしまった僕とは違って、二人は体力的にも今のままの方がいいんじゃないかと思ったけど・・・
 一つだけ、僕が大人に戻った事で、気になることができた。

 初めは気のせいかとも思ったんだけど、その日の夜。パトロールを終えて帰ってくる頃には確信に変わっていた。
 ブルースは、明らかに僕を避けてる。



 パトロールが終わって、バーバラは家に帰り、アルフレッドもティムも上に行って。僕も二人と一緒に上がった。
 けど、僕やティムが私服に着替えて寛いでいる間も、ブルースが上に上がってくる気配はなくて。
 ティムやアルフレッドにお休みの挨拶をした後、僕はこっそりとケイブへと下りてきた。

 大きなコンピュータのモニターの前、バットマンの椅子。
 足音を立てないようにそっと近づいて覗き込むと。マスクを外して、頬杖をつきながら目を瞑っている・・・僕と大して年齢の変わらない彼がいた。
 正面に廻って肘掛に手をついて、顔を近づける。
 規則正しい呼吸を繰り返している事から、眠っているんだとわかった。
 僕が子供になってしまっている間。ブルースは朝も夜も関係なく、元に戻る方法を探し続けてくれた。
 だから、こうやって僕が元に戻ってほっとしたんだと思う。けど・・・
「ねぇ、ブルース・・・どうして僕を避けるの・・・?」
 返事がもらえない事はわかっているのに。僕は思わず、眠っている相手に尋ねた。
 子供の姿だった頃は、何だかんだと言いながらもずっと傍にいてくれたのに。
「僕が・・・大人になったから・・・?大人になった僕は、もう・・・要らないの・・・?」
 ブルースに必要とされていない。そう自分で考えた途端、視界がぼやけて頬を何かが伝った。
 自分が泣いていることに気づいて、慌ててブルースから離れ。彼に背を向けて涙を拭う。
 自分で自分が情けなくなった。
 大人になったから、と彼の下を離れたのは他でもない自分だ。
 それなのに、彼が自分を避けている。自分を必要としなくなったと思った途端、泣き出してしまうだなんて。
「これじゃ、ただの馬鹿じゃないか」
 コンソールに手をついて、大きく溜息をつく。
 そこで、なんだか少し暗くなったような気がして顔をあげようとした瞬間、後ろから強い力で体を引かれ。ブルースの膝の上に倒れこむように座らされた。
「ブルース!?起きてっ・・・」
「あまり、動かないでくれ」
 慌ててどこうとすれば、ぎゅっと抱きしめられて耳元でそう言われ。僕は何がなんだかわからないまま、暫くじっとしていたけど。
「ブルース。足、痺れちゃうよ?離して・・・」
 少し体を動かして、少し振り返って肩越しにそういうと。眉間に皺を寄せて、険しい顔をしたブルースと目が合って、僕はすぐに顔を正面に戻した。
「動くなと言っている」
「・・・でも・・・」
 そんな怖い顔をされたまま抱き締められても、なんだか居心地が悪い。どうしたものかと少し足を動かして。
「っ!!?・・・ブルース・・・?」
 密着してる下半身の一点が、明らかに・・・さっきより固くなっていて。僕は恐る恐るもう一度振り返ってブルースの名を呼んだ。
「・・・だから、動かないでくれと言ったんだ・・・」
 ブルースは大きく溜息をついて、僕をきつく抱き締めていた腕の力を弱めた。
「若くて体力があるというのは良い事なんだが。・・・こういう時は、困るな」
「ブルー、っぅわ?んっ!?」
 そう言って、彼は苦笑して。
 僕の足を持ち上げて、僕を横抱きにして。覆いかぶさるようにして唇を塞いできた。
 初めは僕もケープを掴んで抵抗してたけど・・・
「ふっあっ・・・んっ・・・」
 なんだか、気持ちよくなってきちゃって・・・
「んぁっ・・・」
 唇が離れる頃には、僕の方がねだるようになっていた。
「ブルース・・・?」
 じっと僕を見つめてくるブルースの名を呼ぶと、彼は苦笑して指の背で僕の頬を撫でて。
「要らないから離れたんじゃない」
 そして、今度は触れるだけのキス。
「その逆だ」
 じっと目を見ながら言われて、僕は自分でも顔が赤くなるのが分かった。
 だって、こんな状態でそんなこと言われたら・・・。
「つ、つまり・・・僕と一緒にいたら・・・その・・・」
「お前が欲しくなるんだ。だから、離れていた」
 僕が口篭っていると、ブルースははっきりとそう言って・・・僕をぎゅっと抱き締めた。
「だが、それが結果的にお前を傷つけていたんだな・・・すまなかった・・・」
「ブルース・・・」
 力強く抱き締められて、僕もその背に腕を回して、彼をぎゅっと抱き締めた。






 バットケイブの巨大モニタの前に設置された椅子の上で。
「んっ・・・あっ・・・」
 ブルースはディックを横抱きにしたままその唇を奪い、彼のベルトを外し、ジーンズの中に手を入れ。
「・・・ブルースッ・・・ここで?」
 キスに答えていたディックも、流石にそれには抵抗を見せ。ブルースの手に己の手を重ねるが。
「・・・我慢、できそうにないんだ」
 切なげな表情でそんな事を言われては、それ以上ディックに抵抗する事ができるわけもなく。
「ブルース・・・これ、何だか・・・何も着てない状態より恥ずかしいんだけど」
 あっという間にワイシャツを一枚羽織っているだけという状態まで脱がされたディックは、顔を赤らめて、前を必死に隠しながらブルースを睨みつけるが。
「うむ」
 彼をこんな姿にしたブルース当人は、とても満足そうに頷いて。シャツは着せたまま、耳の後ろから首筋へと指先でなぞり。
「恥ずかしい、と言うわりには・・・しっかり反応しているように見えるが?」
 と、意地悪く囁き。すでに立ち上がり、固くなっている胸の突起をきゅっとつまみあげた。
「そっ!それはっ・・・あっ!」
「これも私の所為、か?」
 楽しそうに、くすくすと笑いながら。その指を胸や腹の筋肉の流れに沿ってなぞり、更に下へと動かし。
「うぁっ・・・」
 ディックが両手で隠していたその場所も指先で形を確かめるようになぞり、優しく掌に包み込む。
 緩やかに扱きあげれば、ディックは喉を反らせて喜んだ。
「あっ!はっ!ブルースッ・・・」
 そして、そっと手を伸ばし、ブルース自身に触れようとするが。ブルースはそれをやんわりと阻止し。
「ほら。ちゃんと立って、コンソールに手をついて」
 ディックは言われるままにコンソールに手をついて、ブルースに尻を突き出す。白いワイシャツから伸びる、スラリと長い足はなんとも魅力的だ。
 それに、意識しているのかいないのか・・・ディックがもじもじと足をこすり合わせると、自然とその形の良い尻も揺れ。まるで誘っているように見えた。
 ワイシャツをめくり、その場所を露にすると、ブルースは躊躇うことなくソコへ舌を這わせ、中に突き入れる。それと同時に、ディック自身にも手を伸ばし。その先端から溢れ出る蜜を塗りこむように、ソコを扱きあげる。
 ディックの甘い囀りが、暗いケイブの中に響き、消える。
 その囀りをもっと聞きたくて、舌を離すと、今度は指を突き入れた。
 中をかき回し、解れた頃を見計らって、本数を増やして。中で捻り、広げ、抽挿を繰り返していると・・・
 ディックは自ら片膝をコンソールに乗せ、足を大きく開き。
「ブルー、スっ・・・ブルースッ・・・も、おねがっ・・・」
 甘いおねだりに、ブルースは言葉で返事をする代わりに。背後からディックを抱き締めると・・・その場所へ熱く猛った自身を押し当て、一気に突き上げた。
「ひあっ!ああああ!!!!」
 激しく腰を打ち付けられ、暗い洞窟に肉のぶつかる音が響く。容赦のない抽挿に、ディックは目の前のモニターに手をついて、押し潰されそうになるのを何とか防いだが、あまり意味を成せずにモニターに額をこすりつけていた。
「うあっ!ひっ!」
 あまりの激しさに言葉を発することも出来ず、ただ、ディックは揺さぶられるまま意味のない声を漏らし。
 反り返った自身からは次々と蜜が溢れ出し、腰の動きに合わせて自身が揺れ、ぽたぽたとコンソールにまだらな模様を付けていく。
 そして。
「ふっ・・・くっ・・・」
「あっ・・・あっ・・・」
 深く打ち込まれると同時に、胎内の奥にさらに熱いモノを押し込まれ。ディックは体を震わせて自身からも熱い欲望を吐き出し、モニターとコンソールを白く汚した。

 冷たいモニターに額を付けたまま。背後で、自分に覆いかぶさっていたブルースが動くのを感じ。もう、離れてしまうのか・・・と思っていた矢先。
「うあっ!?」
 腰に腕を回され、後ろへ倒れこむように引っ張られた。
 真後ろにはコンピュータ前に設置してある椅子。そこへブルースとディックは"繋がったまま"座る事となり。
「あっ・・・くっあっ・・・」
 座った瞬間に、突き上げられるような衝撃と、更に自身の体重でブルースをより深く咥え込む状態に、ディックは体を震わせて声を漏らす。
「まだだ、ディック・・・」
 ブルースは、震えるディックの項にキスをして。熱い吐息を吐くと、腰に回していた腕を太股の下に回し。
 ディックの足を大きく開かせて、ゆっくりと持ち上げ。
「まっ、てブルースッ!まっ・・・」
 怯えた声で止めさせようとするディックの言葉は、もう、目の前の用意に没頭しているブルースには届いていなかった。
 ディックを持ち上げると同時に、自分も腰を引き。その場所からぎりぎりまで自身を引き抜き。
「あっ!くっ!ああああ!!!」
 引き抜いた時とは比べ物にならない速さで、一気にディックの胎内へ自身を埋め込む。それを何度か繰り返していると、次第に引き抜く速度も上がってきていた。
 初めは、頭の横から背後に腕を回し、椅子の背やブルースのケープを掴んで何とか体を離そうとしていたが。完全に体をブルースに預けている状態になってしまったディックには、そこから逃れることはできず。ただ、与えられる激しい感覚に溺れていくしかなかった。
 激しく追い上げられ、ディックの体が痙攣するように小さく震えだした頃。
 ブルースはふと動きを止めた。
「うあっ・・・あふっ・・・」
 ディックは息もつけぬほどの激しい責めあげに、ブルースの首筋に顔を埋め荒い呼吸を繰り返していた。
「ディック・・・目を開けて、モニターを見てごらん?」
 そんなディックの頭を撫でて、ブルースは優しい声色で囁く。
 ディックは言われるまま目を開き、ゆっくりと首を廻らせ正面のモニターを見て。
「っ!!?あぅっ!!」
「くっ・・・」
 驚きのあまり体に力が入り、胎内のブルース自身を締め上げる。それは、自分自身でもその質量を明確に感じる事となり、ディックは体を震わせた。
 モニターに映っているのは、今現在の2人の姿。それを正面から映した映像を、リアルタイムで流しているのだ。
「やだっ、ブルースッ・・・!!」
 ブルースがすることに対して、ほとんどNoと言わないディックも、流石にこれには抵抗を見せる。
 だが。
「嫌だ、と言うわりには・・・」
 ブルースはモニターの方を見ながら、ディック自身を指先でなぞり。
「ここは喜んでいるように見えるぞ?」
「ひうっ!」
 ニヤリと笑ってその場所を、少しきつめに握りこんだ。
「録画はしていないから安心しなさい」
「あたりまっ!あっ!」
 そして、ゆっくりと扱きあげながら。その動きに合わせ腰を揺らす。
「あっ!いやっ!あっ!!」
 ディックの足は肘掛に乗せ、両足を大きく開かせたまま。ディック自身を扱いている手とは反対の手で彼の顎をやんわりと支え、正面を向かせ。
「口と違ってこちらは正直だな?しっかりと私を咥え込んで・・・離そうとしないぞ?」
 耳元で意地悪な囁きをされ、ディックはぶるりと体を震わせる。恥ずかしくて仕方がないのに、モニターから目をそらすことが出来ずにいた。
 ブルースはディックが顔をそらさない事を確認して。手の動きを止め、キーを操作すると。
「ほら・・・お前にはどう見える?」
「あっ・・・やっぁ・・・」
 両手で腰を支えながら、ゆっくりと抽挿を繰り返し、優しく尋ねた。
「やっだぁっ・・・っ・・・」
 モニターには太く大きなモノが狭く小さな場所に出入りする様が鮮明に映し出されている。
 その、狭い場所に先ほど大量に出された白濁が、大きなソレが動くたびに掻き出される様に内から溢れ出て、滴り落ちた。
「ん?」
 揺さぶりながらディックの項にキスをしてブルースが促すと。ディックは体を震わせ、首を廻らせブルースの唇にキスをして。
「ブルー、スのっ!おっきいのっ、がっ!・・・あっ!・・・でたりっ、はいったりっしててっ!・・・んっ!」
 今まで見た事のない角度から自分が体感している事を目の前で、客観的に見させられて。ぐちゅぐちゅと腰を揺らすたびに上がる音も拾われて、スピーカーから聞こえてきているような気がして、更に追い上げられる。
「・・・・違うだろう・・・?」
 もう、いっぱいいっぱいで、何がなんだかわからなくなっているのに。ブルースはディックの耳元で意地悪く囁くと。
「うあぁっ!?」
 一気に自身を引き抜いてディックの体を反転させると、その背をコンソールに押さえつけ。
「お前を犯しているのは、誰だ?」
 そのまま、両足を抱えあげて覆いかぶさるようにして間近で囁いたのは・・・。
「あ・・・バット、マ・・・・っ!!」
 いつの間にか、マスクを被りなおしたブルース・・・バットマンは、ディックが自分を確認して、名を呼ぶとほぼ同時に再びディックを自身で突き上げた。
「そうだ、ディック・グレイソン。お前は私に・・・何をされている・・・?」
 ディックを揺さぶりながら、楽しそうに囁くバットマンの首に腕を回し、ディックは必死ですがりつき。
「バットマッ!あっ!!バットマンッ!!にっ、ファックされっ!てっ!」
 激しく突き上げられ、涙を流しながら言葉を詰まらせて。
「お腹っ!中っ!ごりごりっ、おっきいのっ!擦ってっ、る・・・!!」
 それを聞いて、バットマンは満足したような笑みを浮かべ。
「あっ!ああっ!!もっ、いくっ!イッ・・・んっ!!!」
 ディックが爆ぜる直前、バットマンはその唇に噛み付くようなキスをして。
「んぅっ・・・んっ・・・」
 ディックが達した余韻で体をびくびくと震わせる中、バットマンも全てをディックの胎内に出し尽くすように数回、腰を打ちつけた。



 2人とも荒い息を吐きながら、今度は向き合った状態で。巨大コンピュータの前の椅子にぐったりと座っていた。

 流石に、色々やり過ぎてしまったか・・・。

 そんな事を考えながら。漸く呼吸が整いだしたバットマンは、マスクを外して、いまだ繋がったままだったディックから自身を引き抜こうとした。
 が。
「くっ!あっ!?」
 痛いくらいに自身をキツク締め上げられ、思わず声を漏らす。
「ディ、ディック・・・?」
 流石に驚いて腕の中の存在に声をかければ、ディックはゆっくりと体を起こし。
「ブルース・・・よくも好き勝手やってくれたね・・・」
 顔はにっこりと微笑んでいるが、その場所の締め付けはきついままで。
「今度は僕が、楽しませてもらうよ?・・・いいよね?」
 その笑顔に、ブルースはただ頷くしかなかった。



 バットケイブの巨大モニタの前に設置された椅子の上で。
「んっ・・・んむっ・・・んっ・・・」
 ぴちゃぴちゃと卑猥な水音を立てながら、ディックはブルースの大きなモノを頬張って。
「くっ・・・あっ・・・ディック・・・」
「ん・・・気持ちいい?」
 ディックの髪に指を絡ませていたブルースに見せ付けるように。一度口を離して微笑むと、ブルースの目を見たまま、その場所の長さを確かめるかのように、根元から先端へと舌を這わした。
「うあっ!」
 そんな、視覚的にも犯される感覚に、ブルースは思わず背を反らせ、腰を引きそうになるが。
「もっと、気持ちよくしてあげるからね・・・」
 と、ディックはブルースの半端にコスチュームを脱いだ状態で、開く事のできない足を持ち上げると。
 そのままブルース自身よりも更に後ろの方へと舌を這わせていった。
「くっ!」
 まるで赤ん坊がおしめを変えるときの様な体勢をとらされ、ブルースの顔が羞恥に赤く染まるが。ディックはかまわずその場所に舌を差し込み、たっぷりと唾液を含ませ。更に指を1本、ゆっくりと挿入した。
 ブルースは声を出すまいと自分で自分の指を噛み締めるが、それに気付いたディックにそっと手を外させられる。
「だめだよ?ちゃんと声、聞かせてくれなきゃ・・・ね?」
 まるで小さな子供に言い聞かせるような優しい声とは裏腹に、ブルースの胎内に埋め込まれた指の動きは徐々に激しさを増していく。
「ディック・・・ディッ、クッ・・・」
 指の数も増やされ。もう、耐えられないといった風にブルースはディックの名を呼び。
「ん・・・?どうしたの・・・?」
 ブルースの両足を抱えるようにして顔を近づけてきたディックの頭に手を回し、強引に引き寄せその唇を奪った。
 必然、ブルースは体を二つに折る窮屈な体勢となるが。彼はそれでも何度も何度も角度を変えながら口付けた。ディックはそれを受けて柔らかい微笑みを浮かべ、ブルースの唇をぺろりと舐めると。
「ブルースの中、入ってもいい?・・・力の抜き方、覚えてる?」
 優しく尋ねれば、ブルースはコクリと小さく頷いた。

 椅子に背中を預け、下半身のコスチュームは脱がせて。足を大きく広げさせ、その間に体を割り込ませ。
「うくっ・・・うっ・・・」
 時折、慰めるように涙のにじむ目じりや額にキスを落とし頭を撫で。ブルース自身もやんわりと扱き、気を散らしてやりながら。酷くゆっくりとした動作で、ブルースの胎内へ自身を押し進める。
 長い時間をかけて、自身を全てブルースの胎内へと埋め込んだディックは。
「ブルース、そんなに締め付けたら痛いよ」
 ブルースをぎゅっと抱き締め、耳元で囁き。彼が慣れるのを暫く待って。
「・・・動く、ね・・・?」
 押し入ったときと同じように、ブルースが頷くのを確認してから、ゆっくりと腰を引く。
 声を出さないように歯を食いしばり、ぎゅっと目を瞑っている・・・自分と大して歳の変わらない青年が、とても可愛らしく思えて。
 顔中にキスを落としながら、徐々に腰の動きを早めていく。
「ディックッ!・・・ディッ、クッ・・・!」
 だが、何かを訴えかけるように何度もブルースが名を呼んでくるので、ディックは腰の動きを弱め。
「・・・んっ・・・どうした、の・・・?」
 少々荒くなった息のまま尋ねれば、荒い呼吸を繰り返しながらもブルースはにやりと笑い。
「遠慮・・・するな・・・お前、の・・・好きに。動けば、いい・・・」
 そんな事を言われて、ディックは目を見開く。確かにブルースの体を気遣ってはいたが・・・それほど緩やかな動きばかりではなかったはずだ。
 だが、ブルースは遠慮をするなと言う。
 それはつまり・・・。
「・・・わかった」
 おそらく、若くなったブルースの体が、更なる刺激を求めていたのだろう。それならば、望みの通り・・・。
「じゃあ、遠慮は無し・・・んっ!」
「ああっ!?」
 ディックもニヤリと笑みを返し、ブルースの腰をしっかり支え、ぎりぎりまで引き抜いた自身を思い切り突き上げた。
 初めはただ、ブルースを。自身で感じたいと思っていただけだったのだが、次第にディックの中にちょっとした悪戯心が出てきた。

 ブルースだって、あんなにいろんな事してきたんだから、僕だって・・・

 激しく突き上げられていた途中で、不意に動きを止められて。ブルースが不思議そうに目を開けると。
「ねぇ、ブルース。マスク、付けて?」
 にっこりと、美しい笑顔でそんな事を言われ、ブルースは思わず息を呑み。
「んぁっ!そっ、んな、締め付けないでよ・・・」
 驚きのあまり、キュッとその場所が絞まり。ディックが切なげに眉を寄せて囁く。
「ねぇ・・・いいでしょ?」
 初めは困惑していたブルースだったが、何度も何度も繰り返される甘いキスとおねだりに・・・。
「・・・これで・・・良いか・・・?」
 躊躇いがちに、マスクを被った。
「ん。嬉しいな・・・僕、バットマンとセックスしてるんだ」
 マスクを被ったバットマンの頬を優しく撫で、微笑を浮かべたまま言われた言葉に。バットマンの体がびくりとはねる。
「ぁっ・・・」
 その拍子に、再びその場所が絞まり。ディックが声を漏らす。
「すごく・・・興奮、してる・・・ね」
 ゆっくりと体を倒し、顔を近づけ。間近でそう囁きかけると、バットマンは目を伏せて顔をそらした。そんな彼の様子に、ディックは優しく微笑み。
「ねぇ、一般人に犯されるのって・・・どんな感じ?」
 更に耳元で、意地悪な囁きを。
「そっ、んなっ!あぐっ!!うっ!あっ!!」
 バットマンの返事を聞く前に、ディックは彼の足を抱え上げ、強く突き上げた。その途端、バットマンはディックの肩に指を食い込ませるほど強く掴み、体を震わせる。
 暫くの間、ディックは強弱をつけて腰を揺らし、視覚的にも楽しんでいたが。再び動きを止めて。
「バットマン。この状態は・・・イヤ?」
 優しい声でそんな事を言われ、強く目を瞑っていたバットマンが不思議そうに目をあける。
「僕もマスク、取ってこようか。ちょっと待ってて貰わなくちゃいけないけど」
 それがディックの本気なのか、意地悪なのか。バットマンにはいまいちわからなかったが・・・今、こんな状況で放置されたら、おかしくなってしまいそうなほど高められている事は確かで。
「このままっ・・・」
 バットマンはディックを抱き寄せ震える唇で、
「頼む・・・このまま、続けて・・・イかせてっ、くれ・・・」
 ディックはバットマンの懇願に優しい笑みを返し、その唇や顎にキスの雨を落とし。
「じゃあ、このまま・・・一緒にイこう?」
 ゆっくりと自身を引かれ、その倍ほどの速さで突き上げられ。バットマンはディックの頭を抱き締め、声にならない悲鳴を上げ、そのまま自分の腹を白く汚し。
「んっ・・・あっ・・・っ!!」
 ディックもバットマンが達したことにより、急激に自身を締め上げられ。彼の胎内へと、欲望を吐き出した。

 薄暗いケイブの中。
 モニターの明かりに照らされている2人は、互いに抱き合い荒い呼吸を整えていた。
「んっ・・・」
 ディックはゆっくりとバットマンから離れると、その頬や額にキスを落とし。
「・・・ブルース、大丈夫?」
 バットマンを気遣うように声をかけると、暫くして、目を瞑っていたバットマンがゆっくり顔をあげ。
「っ!?」
 いきなりニヤリと笑みを浮かべたかと思うと、さっと体を反転されて、今度はディックがケイブの椅子に座っている体勢となり。
「ぶ・・・ブルース・・・?」
 片足を抱えられ、ディックが怯えた声を上げると。
「まだ、終わりじゃないだろう?」
 楽しそうに笑うバットマンに、ディックは本気で青ざめた。体力に自信はあるが、若いバットマンはそんなディックよりも更にタフで。
「だ・・・だめっ、これ以上は・・・んぐっ!?」
 怯えて首を横に振るディックの唇をバットマンは己の唇で塞ぎ、情熱的な口付けを。
「だめ、か?」
 ディックの弱い部分を攻めておいて、唇を離したバットマンは切なげな声色で尋ねる。
 完全に煽られたディックが、それ以上抗う事などできるはずもなく。
「・・・ブルースはずるい・・・」
 そう言いながらも、OKの返事をキスで返した。






 翌日。
 ディックが元に戻ったのとほぼ同じ時間に、ブルースも元に戻った。
 ここまで来れば、明日の同じ時間にアルフレッドも元に戻るだろう、と容易に想像はできたが。10歳も若返った体で動き回っていたブルースは、流石に戻った瞬間に酷い疲労感を覚え。
「今日はゆっくり休んだ方がいいよ」
 とディックを初め全員に言われ、渋々この日は休む事にした。
 そんなブルースの状態に、おそらく明日元に戻るであろうアルフレッドの事も心配して、ディックとティムはアルフレッドにも休んでもらう事にした。今日の家事は自分達でやるから、と。

 そしてその夜。食事をブルースの部屋に運んできたディックに、それを食べ終えた彼はポツリと呟くように。
「・・やはり、若い方が・・・いいか?」
 それはまるで独り言のように小さな呟きだったが。ディックはそれに気付いて、手に持っていた空の食器が乗ったトレイをテーブルに置くと、小さく苦笑して。
「そう言うブルースこそ。僕は小さなままの方がよかった?」
 ベッドに座って俯くブルースの顔を覗き込むように、まるで猫のように両手をベッドについて近づいたディックが尋ね返した。
 今回の事で、今まで忘れていた・・・というか、幼い頃は当たり前だと思って意識をしていなかったブルースの過保護さ加減を改めて体感して、少し不安になっていたのだ。
 ブルースはもしかして、小さな子供が・・・そういう意味で、好きなのではないか、と。
「いや、それはない」
 だが、思いのほかあっさりとブルースはそれを否定した。
「確かに、幼い頃のお前は可愛らしかったが。今のお前は本当に美しくなった・・・私の自慢だ」
 まっすぐに目を見つめたまま、微笑を浮かべて言われ、ディックは自分の顔が赤くなるのを感じていた。
「・・・それ、男に対して言う言葉じゃないと思うけど?」
「本心なのだから、仕方あるまい」
 それでも素直に感情を言うことが恥ずかしくて、少しひねくれた言葉を返すが。それさえもすぐに返された素直な言葉に意味を成さなくなってしまう。
「それで・・・お前は、どうなんだ?」
 恥ずかしさに、言葉を返す事もできず。ただ頭を掻いていたディックに、ブルースは先ほどとは打って変わって不安げな表情で尋ねてきた。
「・・・・・・。」
 先にあんなストレートに思いを言葉にされていては、こちらも素直に気持ちを表現するしかなく。
 ディックは小さく溜息をついて。
「・・・ディック?」
 いまだ不安げに見つめてくるブルースの手を取って、その腕の中へ。背中を預けるようにぽすりと倒れこんだ。
「ディ、ディック??」
 いきなりのその行動に、ブルースは驚いて固まっていたが、すぐに腕の中の体を支えるようにぎゅっと抱き締めた。
「僕ね、結構この体勢好きなんだ・・・。僕が小さかった頃はいいんだけど。若いあんたじゃ、ちょっと物足りないかな?」
 ブルースの胸に体を預け、くすくすと笑いながら、ディックも本心をブルースに聞かせる。
「若いあんたはかっこいいし、キュートだけど・・・やっぱり、今のあんたが一番かな?」
 肩越しに振り返り、微笑んでそう言ったディックの唇に、ブルースは優しく口付けた。
 そんな二人の世界が出来上がっている部屋の前で、
「これ、入れる雰囲気じゃないね」
「この中に入るのは無理でしょ・・・」
「それではここはわたくしめが」
「「いやいやいや、もう暫くこのまま」」
 なかなか帰ってこないディックを呼びに、まずティムが。更に戻ってこないディックとティムを呼びに、遊びに来ていたバーバラが。そしてとうとう帰ってこない3人を呼びにアルフレッドが、ブルースの部屋の前でこっそりとデバガメをしていた。









 −数日後、JLA基地内−

 スーパーマンが基地の司令室に入ると、そこにいるのはバットマンだけだった。
「あ・・・や、やあ・・・」
 実はあの事件以来、スーパーマンは意識的にバットマンに会わない様にしていた。
 自分の所為であんな事になってしまった責任を、彼なりに深く受け止めていたのだ。
「・・・安心しろ。皆、もう元に戻っている」
「本当かい?」
 そんなスーパーマンの、怒られた犬のような表情に。バットマンは溜息をついてそう伝えると、彼の表情は一変した。
 それでもまだ多少不安げな様子に、バットマンが頷いてやると、スーパーマンは心底安心した、とでも言うかのように胸をなでおろした。
「良かった・・・本当に」
「・・・・・・」
 確かに今回の事件はスーパーマンの不注意の所為が原因だったが・・・それなりに、良い思いをしたのも事実で・・・。
「・・・まぁ、なんだ・・・ちゃんと元に戻れたのだから。それほど気にする事は・・・・」
 小さく咳払いをしてそう言っていたが、スーパ−マンが目を大きく見開いて固まっているのに気付き喋るのをやめる。
「どうしたのブルース!!頭でも打ったの!!??普段の君がそんな優しい言葉を僕にかけてくれるはずが・・・!!!」
 その瞬間、弾かれた様にスーパーマンはバットマンの両腕を掴んでまくし立てる。
 その、あまりに失礼極まりない言葉にバットマンは言いたいことは山ほどあったが、とりあえず。
「ここでその名を呼ぶなと言っているだろうが!!!」
「ぎゃあ!!」
 クリプトナイト付きの拳で強烈な一撃をお見舞いした。

 一発だけにしてやったのだから、ありがたいと思え。



END

                                 2009/05/09














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