それは、ディックが大学に合格して、寮に移る一週間ほど前の事。 夜、自室のベッドの上で読書をしていたディックの耳に、控え目なノックの音が聞こえてきた。 「開いてるよ」 本に栞を挟み、パタンと閉じて声をかけると。ドアがゆっくりと開く・・・その向こうにはブルースが立っていた。 「どうしたの?」 子供の頃ならいざ知らず。ブルースの方からこの部屋を訪れるという事が珍しくて、何かあった?というように尋ねると。 「いや・・・少し、話をしようと思ってな・・・」 ブルースは少し照れくさそうに言い、ベッドに腰掛けた。 暫くの間、2人は本当に他愛もない話をしていたのだが。 ふと、会話が途切れ・・・どちらともなく唇を重ねた。 そのキスは、触れるだけの幼い口付け。 2人の関係は、世間的に言うならば恋人同士になるのだが・・・ブルースはディックを大事にするあまり、いまだ2人はキスやハグ以上の事をしたことがなかった。 「・・・じゃあ、お休み。ディック・・・」 互いの額を重ね、頭を撫でて。ブルースは立ち上がろうとしたが。 「・・・っ・・・ディック・・・?」 その腕にぎゅっとしがみ付かれて、ブルースは少し困ったように声をかけた。 「・・・・・・ブルース、あの・・・あのね・・・」 腕に額をくっつけているせいで、ブルースは彼の表情を見ることは出来なかったが、その耳が真っ赤に染まっているのは見ることが出来た。 「僕、もう子供じゃないんだ・・・だから・・・」 ぎゅっと、ブルースの腕を掴んでいる手に力が入る。 ディックが望んでいる事は唯一つ。キス以上の事を・・・。 ブルースもそれはわかっている。わかってはいるのだが。 「だがな、ディック。その・・・かなり辛いと、聞くぞ・・・?」 ディックに辛い思いはさせたくない。それに、一度手を出してしまって、自分自身に歯止めが利かなくなるのが怖いのだ。 「わかってる・・・でも・・・」 優しく頭を撫でられながら言われ、ディックが小さく声を上げる。 「寮に入ったら、ずっと一緒にはいられない。だから・・・」 ゆっくりと顔をあげたディックの頬は赤く染まり、瞳にはうっすらと涙も浮かんでいた。 「だから、お願い・・・」 ブルースは、その唇に優しいキスを落とし。 「・・・良いんだな・・・?」 返事の代わりに、ディックはブルースの首に腕を回し、少し強引に引き寄せキスをした。 「んっ・・・」 ディックにキスをされたまま、ブルースは彼をベッドへ押し倒し、一度唇を離すと。 「少し、口を開きなさい」 「・・・?」 言われるままにそろりと開いた唇に、ブルースはぺろりと舌を這わせ。 「んっ!?・・・んっ・・・」 口内に侵入してきた舌に一瞬体を強張らせるものの、すぐに体の力を抜いて、そのキスに答えようとする。 おずおずと差し出される舌を絡め、歯列をなぞればディックの体がぶるりと震えた。 「んあっ・・・はっ・・・ブルー、ス・・・」 ゆっくりと唇を離せば、熱に浮かされ潤んだ瞳が切なげに見上げてくる。 それに微笑を返すと、ブルースはディックの頬や顎、首筋へとキスをして、ゆっくりとパジャマのボタンを外し。 「あっあっ・・・」 唇が触れるたび、体を小さく震わせて囀る小鳥が愛しくてたまらない。 「んっ、あっ、ブルースっ。くすぐった、いっ」 白い首筋や胸に何度もキスをして、手をわき腹を撫でるように滑らせれば。ディックは小さく笑って身を捩った。 「・・・くすぐったい、だけか?」 「あっ!」 そのまま手を背の方に回し、腰を浮かせるようにして。インナーごとパジャマのズボンを脱がせると・・・少し立ち上がり、震えているディック自身が顔を出す。 「うぁ・・・ブルース、恥ずかしいよ・・・んっ!」 そこをやんわりと握りこめば、顔を真っ赤にしたディックはぎゅっと目を瞑り、体を震わせた。 「何も恥ずかしがる事はない」 その場所を扱きながら、ブルースは優しく囁きかける。 「私に、すべてを見せなさい」 ブルースが手を動かし、舌で胸の突起を転がせば。ディックの口からは甘い悲鳴がこぼれおち、その声が、さらにブルースを煽っていく。 「ブルースっ。ブルースっ・・・!」 ふと、ディックが自分に行為をやめさせようとしていることに気付き、顔をあげる。 「どうした?辛いか?」 顔を覗き込んで優しく頭をなでてやると、ディックは顔を赤くしたまま首を小さく横に振り。 「んっ・・・。僕、も。ブルースに、したい・・・」 息も切れ切れに言われた言葉に、ブルースは驚いて目を見開いた。 「ブルースも、気持ちよく、なって・・・?」 「ブルース・・・」 恥ずかしそうに顔を見つめてくるディックに、ブルースは意地悪な笑みを浮かべ。 「一緒に、と言ったのはお前だろう?」 「そう、だけど・・・」 今、ディックはベッドに仰向けになっているブルースの上を跨る体制をとっている。ただし、二人の頭の位置は逆だ。 「やっぱり、ちょっと恥ずかしい・・・」 「ならば、止めるか?」 「ひゃっ!?」 顔を赤くして視線をそらせたディック自身をやんわりと握り、ブルースはその先端をぺろりと嘗めた。 「やっ、止めないっ、よっ・・・あっ!」 その部分へ舌を這わせれば、ディックは上半身を支えていることが出来ずにブルースの腹に突っ伏してしまう。 「どうした?私にもしてくれるんだろう?」 ブルースは相変わらず意地悪な笑みを浮かべたままで、ディックはそれが悔しくなって何とか上半身を起こすと・・・。 恐る恐る、目の前にあるブルース自身をそっと握り。自身を慰めるときを思い出しながら自分のモノよりずっと大きなそれをゆっくりとしごきだした。 たどたどしい動きではあるが、ブルースに快楽を与えようとするディックを愛しく思い、笑みをこぼす。 「舐めて・・・ごらん?」 「う・・・うん・・・」 言われるまま、ディックは舌をのばしブルース自身の先端から溢れ出てきている蜜をそろりと舐めとった。 「んっ・・・んっ・・・」 味は美味しいと言えるものではなかったが、それがブルースのモノだと思うと嫌だと思う気持ちは一切出てこなかった。 むしろ、もっと味わいたいとでも言うかのように、自ら大きく口を開き・・・その場所を深く咥え込んだ。 「んむっ・・・」 「っ・・・」 それには流石のブルースも身体を震わせ、声を押し殺す。 「そうだ・・・うまいぞ・・・」 実際はそれほど上手いと言う訳でもなかったが。それでも、懸命に奉仕するディックにブルースは確実に追い上げられていた。 ブルースは、このままでは自分のほうが先に果ててしまう・・・と思い、体格差のせいで口がとどかなくなったディック自身を咥えるのは諦め。 その後ろ。ディック自身は握ったまま、舌先でその裏側をなぞり。そのままさらにその奥。今までだれも触れることのなかったその場所へ、舌を這わせた。 「んあっ!?あっ!ブルースっ!!?」 とたん、ディックは驚いてブルース自身から唇を離し、声を上げる。 「ん・・・どうした?もう、おしまいか?」 きつい締め付けを舌先で感じていたブルースは、そこからゆっくりと舌を離し意地悪な声色で囁く。 「だっ、だってっ!!あっ!」 再び、今度は先ほどよりも深く舌をその場所へ差し込まれ、自身も的確に感じる場所を刺激され。ディックはぶるぶると身体を震わせた。 「んあっ!・・・んっ!んぅっ!」 だが、負けじとの前にそそり立つブルース自身を咥え、口に収まりきらない部分は手でしごき上げる。 「んぁっ!だっめっ!!もっ・・・!!!」 しかしそれから数秒も経たぬうちに、ディックはブルース自身から唇を離し声を上げ。 「あっ!やっ!・・・ーーーーー!!!」 ブルースは手の中と胸の上に滴る熱いモノを感じ、ぎゅっと締めつけてくるその場所からゆっくりと舌を抜いた。 「ひあっ・・・あっ・・・」 逆さまの体勢のまま、ブルースの上に力なく崩れおちたディックの尻を撫でながら。ブルースは目の前にある、自分の唾液で濡れそぼったその場所を、自身でおもいきり貫きたいという欲望と闘っていた。 舌でさえきつく締めつけてくるその場所は、まだまだ自身を埋め込むには狭すぎて。このまま事を進めれば、確実にディックを傷つけてしまうだろう。 「・・・今日は、このくらいにしておかないか?」 手の届く範囲・・・ディックの尻や太ももを撫でながら尋ねてみるが。正直なところ自分自身、このままで引き下がるのは非常に辛い。 だが、ディックに無理をさせるわけには・・・と一人で悶々と考え込んでいると。 「っ!?」 ふいに、自身をぎゅっと握られ、声を洩らす。 「・・・ディック」 いきなりそんなことをしてきた人物の名を呼べば、ディックは握ったその場所に舌を這わせ。 「ダメ、だよ・・・。ブルースが、まだ、イッてない」 その場所をゆっくりと扱きながらそんなことを言われては・・・ブルースはもう、我慢できなかった。 「・・・ブルース・・・?」 ディックをベッドに横たわらせ、その両足を自分で抱えるようにひざ裏に腕を回させ。 「ひゃっ!?」 露わになったディックのその場所を指先で解すようにつつくと。 「ここで、私を受け入れるんだからな。きちんと解さないと」 言うや否や、ブルースは再びその場所に舌を埋め込み。唾液を流し込むようにその場所を解し始めた。 「うあっ!あっ!」 舌が動くたびにびくびくと身体を震わせ、甘い囀りを上げる小鳥のその場所を舌で十分にほぐすと。ブルースはサイドボードから何かを取り出し。 「少し、冷たいぞ」 取り出したのは、ウェインコスメから新しく発売される予定のボディーローション。肌の乾燥を防ぐそれは、まだ発売はされていない商品ではあるが・・・発売前のそれを渡され、自分は使わないから、とディックに渡して。彼がそれをサイドボードに入れていたのを思い出したのだ。 何もないよりは良いだろう。と。それを手の上に出し。そのまま自分の指にそれを塗ってディックのその場所にあてがい。 「・・・?っ、うっ、あっ・・・!!」 そのまま、ゆっくりと。指を一本ディックの胎内へと埋め込んだ。 「・・・痛くないか・・・?」 ぎっちりと締めつけてくるその場所に指を埋め込んだまま尋ねると、ディックはギュッと目をつぶったまま小さく身体を震わせ。 「だ・・・だいじょ・・・ぶ・・・」 と、答えた。辛そうではあるが、痛みは無さそうだと感じたブルースは・・・細心の注意を払い、ゆっくりと指を動かし、その場所を解しにかかった。 「うっ・・・あっ・・・ブル、スッ・・・」 指を動かすたびにディックの口からは甘い声が、自身からは蜜が次々と溢れだす。 「なんかっ・・・へんっ・・・」 指がゆっくりと出入りする度、ぞくぞくと背中を駆け上がってくる感覚に。ディックはわけもわからず首を横に振る。 すでにその場所は、ブルースの指を3本、ようやくではあるが飲み込めるようになっていた。 「・・・・・・・・・。」 ブルースはゆっくりとその場所から指を抜くと、自身の足を抱えていたディックの腕をとり。その腕は自分の首に回させると、今度はブルースがディックの足を抱え上げ。 「辛ければ、言いなさい。・・・すぐに、やめるから・・・」 囁くようにそう言って、すでに荒い呼吸を繰り返しているディックの唇に軽く口付け、ブルースは自身を支えながら、その場所へ身を進めていった。 「・・・うっあっ・・・あっ!あぐっ!!」 今まで感じたことのない熱さと圧迫に、ディックは大きく背をそらせ悲鳴を上げる。手には力が入り、ブルースの背にきつく爪を立てた。 「っ・・・辛い、か?今ならまだ・・・っ!?」 一番太い場所が全て入りきる前に、ゆっくりと腰を引こうとしたブルースはしかし、強い力でディックに抱きつかれ動きを止める。 「やめっ、ないでっ・・・!ぼく、だいじょ、ぶ・・・っ、だか、ら・・・」 ディックは涙を流し、体を震わせながらもそう言って・・・ブルースの腰に足を絡め、自らブルース自身を飲み込もうと腰を押しつけていた。 「ディック・・・」 ブルースはそんなディックの頭をなで、涙を舐めとるように何度も優しいキスをして。 「力を・・・抜きなさい・・・」 耳元で囁いて、そっとその体を抱きしめ。 「うっ・・・あっ!ああっ!!んぅっ・・・!!!」 悲鳴を上げるディックの唇を優しい口付けで塞ぎ、ゆっくりと腰を進めていった。 「くっ・・・」 どうにかすべてをディックの胎内へと埋め込むことはできたが、ブルース自身、あまりにキツイ締め付けに顔を歪めた。 だが、すぐに目の前の小鳥がギュッと目をつぶって涙を流しながら震えていることに気付き。 「ディック。目を、開けなさい・・・」 そんなディックの様子に、ブルースは微笑み、優しい声で囁く。 「ほら・・・今、私達は一つになっているんだ。わかるか?」 さらに、優しい手つきで頬を撫でられ。ディックはゆっくりと目をあけた。 「あっ・・・」 目の前には、頬をほんのりと赤く染め、上気させながらも優しい笑みを浮かべているブルース。そして、胎内に感じる・・・硬く、大きな熱量。 「わか・・・る、よ」 ディックはブルースにギュッと抱きつき、頬を摺り寄せ。 「ブルース・・・僕、いま・・・すごく、幸せ・・・」 いまだ、辛そうに眉間を寄せたままではあるが。それでもそう言って、何度も口付けてくるもので・・・。 「動いても、良いか・・・?」 とうとう、ブルースのほうが耐え切れなくなってディックが小さくうなずくとほぼ同時に、腰をゆっくりと引き、突き上げた。 銀色に輝く月が室内を優しく照らす。 シーツにくるまり眠っていたディックは目を覚まし、そのままゆっくりと体を起こした。 隣ではブルースがすやすやと眠っている。その寝顔を見つめ微笑み、ディックは唇に触れるだけのキスをした。 「ひゃっ!?」 そのとたんいきなり尻を撫でられて情けない悲鳴を上げる。 「ブルース・・・起きてたの?」 ブルースは片目を開けて、ディックを自分の腹の上に乗せると。 「今起きた所だ」 と、悪戯っぽい笑みを浮かべてディックにキスをした。 しばらくの間、ディックはおとなしくブルースの上で彼の胸に身を預けていたのだが・・・。 「ブルース・・・なんか、当たるんだけど・・・」 上目づかいに尋ねてみれば、ブルースは困ったような顔をして肩をすくめた。 「・・・・・・。」 ディックはそんなブルースの唇にもう一度キスをして、はらりと纏っていたシーツを落とすと。 「今度は、僕にさせてね?」 とにっこりと微笑んで。ブルース自身を支え、自らそれを胎内へと導いた。 それから、大学の寮で生活を始めたディックは、しかし週末には必ずウェイン邸へと戻り、クライムファイターとしての訓練を欠かさずに受けていた。 そして。 「ディック、今夜は私の部屋に来なさい。学校での事を聞かせておくれ」 夜は必ずどちらかの部屋で過ごすようになっていた。 「ブルースがこんなに"好き"だなんて、知らなかったよ・・・」 ベッドの上で突っ伏しているディックがそう呟くと、 「・・・お前は"嫌い"なのか?」 その背に覆いかぶさるようにして抱きついてきたブルースが、頭をなでながら尋ねる。 「・・・"嫌い"だったら、今ここにいないでしょ?」 ディックはブルースの腕の中で体を反転させると、目の前にあるブルースの唇をぺろりと舐めて微笑んだ。 END 2009/03/20 |