月明かりが照らす広い部屋の中。 「n...nu...」 広いベッドの上、布のすれる音、甘い息。 「んっ・・・くすぐったいよ・・・ブルース・・・」 名を呼ばれ、自分を呼んだ青年の足を持ち上げ愛おしそうに両足のあちこちにキスをしていた男。ブルースは、返事の変わりにそのふくらはぎをべろりと舐め上げた。 「ひゃっぁ・・・」 「くすぐったい、だけか?」 思わず声を上げた相手に、ブルースはニヤリと笑い囁くと。持ち上げていた足を下ろしゆっくりと、覆いかぶさるようにして青年の目を覗き込んだ。 「ディック・・・」 深い青の瞳を潤ませ。青年、ディックはブルースを見上げた。 「わかってる、くせに・・・」 ディックは悩ましげに眉をひそめ、ブルースの首に腕を回す。どちらともなく唇を重ね合わせ、貪る。 密着させた互いの体の間で熱くなった互いのモノが擦れ合い、息もあがる。 キスが深くなるにつれ、密着させた腰の動きも大きくなり、 「ブルース・・・ブル、ス・・・お願い・・・」 キスの合間、途切れ途切れにディックが声に出してブルースを強請るが。言われるまでもなく、ブルースはディックの最奥へと腰を進め。 「Ah...hhhh!!!」 ディックはその白い喉を思い切り反らせ、甘い悲鳴を上げる。ブルースはその悲鳴さえ食らい尽くすかのように、その唇を貪った。 「ブルース、足好きだよね・・・」 情事の後。甘い倦怠感の中、ディックを後ろ抱きにして艶やかな髪を撫で。その手触りを楽しんでいるところで、不意にかけられたその言葉。 そうだろうか?と少し考えて。ああ、と軽く声を出す。 「ディック、それはお前だからだ」 そういって、ディックの長い髪を掻き揚げ首筋にキスを落とす。 「足だけじゃないぞ?髪も目も、その唇も。お前のすべてが好きだ」 「・・・・・・・・・・そう・・・」 甘く囁いた言葉にあまりにもそっけない返事が帰ってきたので、軽く肩をすくめたが。 「・・・・・・」 それから何も言わなくなったディックの耳が赤くなっているのを見て、ブルースは満足そうにディックの体を抱きしめた。 次の日の夜 「よし、これでこのあたりも平和になるね!」 一仕事を終え、ビルの上で悪事を働いていた者達が警察に連れて行かれるのを眺めつつ、ロビンが嬉しそうに声を上げた。 そしてたった今、分かれて逃げていった者たちも捕まえたとバットマンとバットガールから通信が入り、ロビンと共にいたナイトウィングも安堵の息をつく。 「そうだな。じゃあ、帰ろうか」 そして、ロビンに優しく微笑みそう言うと、ロビンも笑顔を返した。が。 「ん?どうした?」 ロビンが不思議そうにナイトウィングを見つめていたので、尋ねてみると。 「ナイトウィング、首、怪我したの?」 と心配そうに返された。 首?別に痛くないけど・・・ どこかに引っ掛けたかな?などと思いつつ、そばにあったガラス窓に自身を写して見る。 「っ・・・!!?」 「どうしたの?」 首筋を押さえ黙ってしまったナイトウィングに、ロビンがさらに心配そうに尋ねる。 「い・・・いや。なんでもないよ。ただ虫に刺されたみたい。心配しないで」 笑顔で返すものの、まだ少し不安そうなロビンの頭を撫で、 「ほら、早く帰ろう?僕お腹減っちゃったよ」 といって帰路を促した。 バットケイブへ戻る途中。ビルの間を飛び越えながら、青い鳥はどうやって虫退治をするかを考え軽くため息をついた。 END 2008/09/02 |